後藤壮史

八月十六日(木)大阪編part1

調度良く伏見に起居している弟への一宿の礼による損失をバイト代で埋め、遠慮の無い阿呆に呆れながら阪急電車に揺られて一時間で日本橋駅に到着。見慣れた雰囲気のある黄色いラーメンの看板が二郎系でなかった事に少しガッカリしながらゼミ旅行が始まりました。

上方演芸資料館でうつらうつら船を漕ぎながら聞いた落語のCDや、見続けていると知恵熱が出そうな現代美術など、ゆったりと楽しんだ大阪での一日のハイライトは、新世界近くで美味しくいただいた串かつとハイボールでした。ここまでかと思えるほど即物的過ぎる自分の脳味噌にびっくりです。

また、最近では話に聴くかプリキュアに登場するかでしか認識する機会の無かった通天閣が想像以上の偉容であった事も印象的でした。左の様に西日に照らされる通天閣の写真を眺めていると、

昭和か平成かも曖昧になる様な雰囲気を味わえます。

夕食後の一日の締め括りは通天閣内部ツアーでした。力不足も甚だしい夜景写真ではありますが、雰囲気だけでも伝われば幸いです。

街興しに展示されているキン肉マン関連の等身大フィギュアの中では、右のウォーズマンが中々の迫力でした。それはいいのですが、通天閣内部に置かれていたダメージ仕様の頭部フィギュアは、夜に眺めるには少々心臓に迷惑をかけそうな雰囲気です。

 

通天閣と夜景の写真で綺麗に終わればいいのですが、今ひとつオチに欠けるので余計な記述を続けました。緩々と大阪の雰囲気を楽しんだ一日目の締め括りに華を添えるウォーズマンで、大阪に関する記述は終わろうと思います。

 

八月十七日(金)京都篇

怪奇大作戦の様な副題がくっついていますが、もう少し日の当たる特撮に関する二日目は、京都大衆文化巡りでございます。

日本橋から乗り継ぎを重ねて電車に揺られること約一時間。最初の目的地は一部世間様からの国際日本学部、取り分け宮本ゼミ辺りへのイメージにぴったり合致する京都国際マンガミュージアムです。

歴史有る小学校を改装したというこの博物館。写真を撮り忘れたのが惜しまれる木製和洋折衷の内装は、小学校や博物館よりも明治から続くカトリック系

お嬢様学校だったりしないかなあ、という妄想が捗ります。お誂え向きに確か銀杏の木もありました。ごきげんよう。

漫画リテラシーの低い私のこの博物館でのちょっとした驚きは、赤塚不二夫先生が如何に漫画の演出や見せ方に影響を持つ方であったか、という事です。既成の漫画概念を突き崩した様々な実験が、分り易くパネルになって展示されていました。

自由時間には自由に漫画が読めるとあって、何処の古本屋に行っても見つからなかった「羊のうた(冬目景)」を読んで集合時間を待ちました。続刊が読めず名残惜しいですが、最後に仏師の技術で作られたという火の鳥の像を一頻り眺めて次の目的地へ向かいます。

 

昼食を取る予定であった店が消滅しているというハプニングに見舞われた後、太秦映画村へと向かいます。ちょっと風情ある移動手段の嵐電に乗り込み、猛暑の京都盆地を一路、太秦へと向かいます。景色が良いのは幸いでしたが、あの暑さは堪えました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、映画村について詳述するべきなのですが、恐らくここで我慢せずに話をし出すと旅行記というより東映特集と特撮語りがメインになってしまうので、なるべく他の行き先と同じ配分になるよう努めます。

東映映画村は主展示である時代劇のオープンセットの他にも、東映のヒーロー特撮や東映アニメーションに関する展示が幅を利かせています。いわゆるニチアサキッズタイムの大きなお友達である私のテンションはここで最高値を記録します。

こちらスーパーヒーローランドの入り口では、ちょっと懐かしいヒーローが出迎えてくれます。今思えばブルービートが真ん中に陣取っているのを発見した辺りからちょっとテンションがおかしかったです。

 

中の展示では、何でこの三台を選んだか意図を掴みかねるライダーのバイクや、

恐らく映画村での撮影かショー用に使われたと思われる歴代平成ライダーとスーパー戦隊の全レッドのアクション撮影用のスーツが展示されていました。

 

 

 

 

 

 

確か集合写真でバルパンサーのポーズを撮った記憶があります。

地方のヒーローショーだと時々目も当てられないような出来のスーツが出て来ますが、流石は東映直轄とあってかここでは綺麗なスーツが見られました。

 

二番手にローアングラーと罵られつつ撮ったこちらは、大学入学直前の私をニチアサに引き戻したばかりかプリキュアファンへの入り口となったハートキャッチプリキュア!他、プリキュアの展示です。

プリキュアに関連する展示は内部のチラシで大々的に宣伝してあったのですが、どうも時期を外したらしく、それほど多くはありませんでした。無念。

この他、腹式呼吸の難しさと声優の努力を痛感させられる目玉親父のアドリブ体験や、東映まんがまつり関連の展示で子供のようにはしゃいだり、暑さに参りながら映画村を練り歩いたりしましたが、あまりに長いので割愛します。

京都ではこの後、四条河原町で目も覚める旨さのきつねうどんを食べたり、欲をかいて電車で下鴨神社に行こうとしたら神様に怒られて門前払いを食らいタクシーを使う羽目になったりと、フリーフォールの様なテンションの上下を味わってクタクタになりながら日本橋へ帰りました。

 

八月十八日(土) 兵庫編

この日は手塚治虫記念館、宝塚、ファッション美術館、神戸繁華街散策と、昨日と比べて対象年齢が跳ね上がるコースでした。ファッション美術館という響きに自分との縁遠さから少し不安を覚えつつ今日も電車に揺られます。

手塚治虫記念館では、かの神様が如何にして形成され、どの様な人生を歩んだか、そしてどれだけ後世の巨匠達に影響を残したかをしみじみと感じました。しかし向学心に欠ける私は、三割の興味を原典の神様に向ける一方で、遥か未来はポストモダンの申し子、エヴァンゲリオンの展示に夢中になっていました。あの初期設定で放送したら本当に羽つきウルトラマンだったでしょうね。

 

 

 

 

エヴァ語りに花を咲かせながら宝塚大劇場へと向かいます。

些末事ですが、昼食の質、量共に昨日の映画村とは段違いでした。

さて、肝心の中身についてですが、「綺羅びやか」の一言に尽きます。悪意は無いのですが、いるだけで睫毛が伸びそうでした。あの「ここは自分のいる場所じゃない」感覚は、初めて物見遊山で乙女ロードを訪れた時に似ています。とても綺麗でしたけどね。いや、宝塚が。

宝塚でごっそりとMPを消費した後は、嫌な予感がするファッション美術館へと向かいます。入館前に目の前の広場で黒バスコスの一団が撮影会をしていた所に出くわし、(ここもひょっとして自分の来る所じゃないのか・・・)と不安を覚えました。しかし実際に訪れてみた所、内部の展示はフランスを中心に、少数部族の衣装なども展示されており、純粋に興味が先行して眺めていた記憶

があります。また、併設された神戸ゆかりの美術展では、緻密かつ暖か味のある雰囲気の風景画が数多く展示されており、こちらも大いに楽しむことができました。しかし嫌な予感が別件で当たったらしく、ファッション美術館から三宮へ向かう途中、我らが宮本先生の晴れ男伝説を覆しかねない雨雲が広がっていました。

三宮界隈でのフィールドワークはゼミ長渡島とのデートと相成りました。やけにコストパフォーマンスの良いラーメン屋に舌鼓を打ち、想像とちょっと違った開田裕治の複製原画展に苦笑いし、砂糖ジャリジャリのロールケーキに顔をしかめ、最後は強行軍で異人館街を眺めて「男二人でこれはナニだねえ」と笑うなど、百面相をしながらの楽しい散策となりました。

楽しく歩き疲れた三日目はこの後、旅館での懇親会がありましたが、念のため、割愛します。

 

八月十九日(日) 大阪編part2

甲子園球児に恨みはありませんが、二日酔いで膝が痛む事もあってどうにもやり切れない気持ちで最終日を迎えました。(※関西は甲子園放送の関係で仮面ライダーとプリキュアがこの日は放送休止でした)

いそいそと片づけを終えて森野サンプルへ向かいます。途中、膝と腹からダ

ブルパンチを喰らいましたが、何とか堪えて森野サンプルへ辿り着きました。

捻くれ者の私は、「去年は大人気だったから」という理由でパフェ作りをやめてケーキ職人となる道を選びました。カラフルなソースや、シリコンのクリームが何だか訳の分からない機械から綺麗に絞り出されているのを眺めても、勿論なんら悔しくなんてありませんでした。しかし、自分のケーキが(ここに載せるのを躊躇う程に)あんまりにもあんまりなのは事実です。

サンプルに関する解説も興味深く、全く知らない日本文化の一端を知れる貴重な機会となりました。しかし、あの鶏肉つき耳かきは生理的にちょっと。

 

最後の行程を終え、なんば駅地下で解散した後、宮本先生他有志で千房の見た目にも美味しいお好み焼きを締め括りに、今年度のゼミ旅行は終わりました。体験としての学習、娯楽としての旅行の両側面とも有意義の一言に尽きる、とても楽しい三泊四日でした。

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